ミュージアムのひととき

第5回 Heiau (ヘイアウ)

a sculpture of sheep in a museum exhibit.
Wahaʽula Heiau の模型 (ハワイアンホール1階の展示より)

-ヘイアウとは?

ヘイアウは神に奉げ物をする神聖な場所でした。その形や建てられる場所、機能はそれぞれの目的によって異なります。農業の豊作、身体の健康、戦闘の勝利など、ヘイアウに願いをかけることは様々でした。しばしば高台の仕切られた場所にいくつかの建造物が建てられ、祈りの祭壇 (ʽānuʽu) 、偶像を祀る場所 (Hale mana) 、祈りの太鼓を叩く場所 (hale pahu) 、奉げ物を準備する場所 (hale umu) などがありました。正式な儀式を行うヘイアウはその地域の首長に責任があり、首長や祈祷師にかかる制約や負担はとても大きなものでした。

ルアキニというタイプのヘイアウでは、首長が戦いの神に自分の軍勢が優位になるように懇願し、祈りの儀式を通して自分に軍配が上がるかどうか神の声を聞いていました。

19 世紀の歴史家、デイヴィッド・マロ著の “Hawaiian Antiquities” によれば、ハワイの儀式には二つのタイプがあり、クーという戦いの神様を祀ったヘイアウと、ロノという平和と豊穣の神様のヘイアウがありました。クーを祀ったヘイアウをルアキニと言い、その儀式は大変規律の厳しいものでした。ルアキニの建物にはクーのキノラウ のひとつであるオヒアの木が使われ、その屋根はロウルかウキの葉で覆われていました。一方、ロノを祀ったヘイアウはハレ オ ロノ、またはマペレと呼ばれ、その祭壇はラマの木が使用され、ティーの葉で覆われていました。ロノの儀式はクーの儀式ほど規律が厳しくはありませんでした。     

-ハワイで最初のルアキニ ヘイアウ “Wahaʽula Heiau” 

No kēia heiau, ʽo ia ke kapu ʽenaʽena. このヘイアウはとても神聖な場所である

このヘイアウはタヒチから戻って来た身分の高い僧侶、パアオによってハワイ島のプナに13 世紀に建設されたハワイで最初の ルアキニ ヘイアウ(生贄を捧げるヘイアウ)と言われています。 もともとはAhaʽula という名前で知られていた ようです。ハワイ王族の家系が下降の一途を辿ることを懸念した彼は、タヒチから一番身分の高いクラスの首長ピリを連れてハワイに戻りました。多くのハワイアンの首長の家系の元はピリにあたります。パアオは生贄を捧げるスタイルを含む、より一層厳格で宗教的な階級制度をハワイに導入したことで知られています。全てのヘイアウの中で最も神聖なワハウラはよく知られるようになり、カプ制度が廃止される 1819 年までルアキニ ヘイアウとして使用されていました。

多くのヘイアウが時の経過と共に失われていくのに対し、ワハウラは国立火山公園の一部として 20 世紀のほぼ最後までほとんど無傷で残っていました。しかし 1997  8  11 日の早朝、プウ オオ噴火口から溶岩が流出し、 4 時間以内にヘイアウのほとんどの部分が溶岩に飲み込まれ、予期せずワハウラ ヘイアウは破壊されてしまいました。

ハワイアンホール1階にあるこの模型は 1902 年、ジョン・ F ・ストークスの指示のもと、 ワハウラ  ヘイアウに実際にあった石を使って作られましたが、本物のヘイアウは溶岩流に飲み込まれた為、この模型はオリジナルのヘイアウの現存する最後の形跡のひとつです。

模型は ルアキニ  ヘイアウの典型的な構造を含み、ルアキニについてはワケアという神によって建てられたハワイで初めてのヘイアウ「ワオラニ」を表すチャントに何回も謳われていました。

ʽO Wākea la ko Waolani     ワケアは ワオラニのものである

ʽO Kūkalepa la i Waolani     クカレパは ワオラニにいる

Ka paehumu la i Waolani     特別に囲われた神聖な場所が ワオラニにある

Ka ʽiliʽili la i Waolani       小石を敷き詰めた場所が ワオラニにある

Ka ʽānuʽu la i Waolani      祈りの塔が ワオラニにある

Ka mana la i Waolani      祈りを捧げる神聖な場所が ワオラニにある

Ka hale pahu la i Waolani    祈りの太鼓を叩く場所が ワオラニにある

Ka mōʽī la i Waolani       統治者が ワオラニにいる

Ke Kūpala la i Waolani      捧げ物を供える場所が ワオラニにある

パアオによって 13 世紀に建てられたハワイで初めてのルアキニ ヘイアウ「ワハウラ」。実際にそこで使用されていた石によって作られたハワイアンホール1階にあるこの模型は、現在では溶岩に飲み込まれ跡形が無くなってしまったワハウラ ヘイアウの大変貴重な資料となっています。

-その他のヘイアウ

a sculpture of sheep in a museum exhibit.
1890年のPuʽukoholā Heiau (ハワイアンホール1階の展示より)
プウコホラ ヘイアウはハワイ島のコハラ地区カヴァイハエに 1791 年カメハメハによって建設された、クカイリモクという戦いの神を祀るルアキニ ヘイアウでした。修復されたヘイアウは国の歴史的建造物で、毎年その歴史的そして文化的重要性を記念するイベントが行われています。
a black and white photo of a beach with palm trees.
1890年のPuʽukoholā Heiau (ハワイアンホール1階の展示より)
ヒキアウ ヘイアウは “Hale o Lono” 「ロノの家」というハワイ語の意味で、ロノに捧げるヘイアウとして知られています。 1779 年の 1 月にクック船長がロノとして崇拝された場所でハワイ島のケアラケクアにありました。
a black and white photo of a desert with palm trees.
1890年のPuʽukoholā Heiau (ハワイアンホール1階の展示より)

イリイリオパエ ヘイアウはモロカイ島カウナカカイのルアキニ ヘイアウで、 13 世紀に建設されたと言われています。ハワイでは 2 番目に大きく、概観が損なわれていない一番古い宗教的な場所です。このヘイアウはモロカイ島で有名な黒魔術と関連があると言われています。

*参考文献 ”Hawaiian Antiquities” : 著者 David Malo / Bishop Museum Press 1951

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